Hokkaido - Wild sea otters
猫派?犬派?と聞かれて迷わず「カワウソ派」と答えていたのですが、ここ数年はラッコにもお熱です。
ひょんなことから国内で野生下のラッコが定着しているポイントがあるとの情報を聞きつけ、感染症など最新の注意を払い撮影に向かいました。
……
降り立ったのは北海道 釧路空港。
カワウソ好きとしては釧路市動物園でカナダカワウソを観たいし、鉄道好きとしては厚岸駅で氏家かきめしも食べたいし…
寄り道は最小限、ぐっとこらえてレンタカーを走らせます。(同行者に運転してもらったのでナビを見ていただけなんだけどw)
霧多布って小学生の社会ぶりに地名を聞きました。まさか自分がこの地に踏み入れるとは思っていませんでした。
事前にアタリをつけていたポイントで観察を開始したのが昼過ぎ。動物園・水族館に来たわけではないので、全日程で空振りも覚悟の上、です。
でしたが、観察開始程なくしてなにやら黒い動く何かを発見しました。
(これでもAPS-C175mmをトリミングしています、参考までに)
ひょっこりラッコが現れました。あっさりすぎるw
当然ながら水族館とは違うので、上から見下ろすアングルになります。真横からのシチュエーションでは見られない。
お、なんか食ってる!
写真では分かりづらのですが、オレンジ色の何かを食べているようでした。カサゴ?貝?まったくわからん。
あとで地図をみてわかったのですが、撮影ポイントからこのブイまでそこそこ距離があるらしく水中に潜ってしまうとすぐにロストしてしまいます。野生は難しい…。
遠くに行ってしまったので別のポイントへ移動します。
すいーーーー。あ、これさっきと別個体だ。
すいすいーーーー。なんだかロイズくんに似ている。色だけか。
撮影は一泊二日の強行スケジュール。
霧がえげつないことになってきて、宿までホワイトアウトしそうだったのでビビって撤退。だってここ街灯ないんだもん…!さすが霧多布、その名の通り霧がすごい。
さて、二日目。朝から快晴です。
このあと撮影にいく計画のある人のために、参考になりそうな写真と距離感をお伝えしますと、これがAPS-C15mmで撮影した画角、で
600mmがこれ。
この写真にはラッコは写っていませんが、この画像の透かしの1文字分くらいの大きさで撮れれば御の字といったところでした。トホホ。まあそんなもんです。
遊歩道を暫く歩くと灯台が見えてきます。観光用の灯台ではないので一般人は登れません。江ノ島じゃないしね。
今日はこの岬の先端まで行ってみましょう。
霧が出て大気がクリアでないので撮影条件としてはいまいちでしたが…
鳥さんたち(同定できない)がたくさん見られて、心躍るなど。
岩場の近くに何か浮いているように見えます。
波に揉まれるラッコを見つけました。
早朝からラッコウォッチに挑戦していたお兄さんに話を伺ったところによると、どうやら前日に見かけたものとは別個体のようです。「ちょうどさっき向こう側から流れてきたんですよ〜」だそうで。
っていうか二頭いる!
顔が白っぽい個体と、黒っぽい個体となのでこの二頭の識別は難しくないですね。
ああ、波に流されている。
ここからは無理やりトリミングした写真です。
なかよく(?)並んで浮かんでおられる。
黒が意図的なのか回転しはじめました。波に流されているようにも見えるがw
ぷかぁ。
画面向かって左手に流れていきました。岩に干渉して見えなくなってしまった。
……ポイントを変えます。
崖の下を覗く。
じー。めっちゃ近くにいた!!今回の撮影で一番距離が近い。
ラッ……
アザラシ!ワモンさんなのかゴマフさんなのか……。野生個体の種の同定はとてもじゃないけど難しいです。ゴマフかなー。
アザラ……こちらはラッコですね。
このコもラッコ、完全にこちらを見ています。
近づいてきた!
岩場の近く・アマモの群生ポイントまで近づいたり、沖合の漁場の方まで出ていったりを繰り返しているようでした。
(世の中の多くの人が想像するラッコのポーズ)
すいー。
ここで時間いっぱい、撮影はお開きです。
さて、9月最終週は「Sea Otter Awareness Week」です。
Sea Otterがラッコで、Awarenessが啓発とか啓蒙とか。なのでラッコ啓蒙週間と翻訳されることが多いですね。
今年は9/20-26で、テーマは"Bridging the Gaps"です。
This year’s theme signifies the breaches that exist in our knowledge of how to keep marine ecosystems whole and resilient and how to protect vulnerable species.
海の生態系全体を維持することや回復力に富む状態にする方法、弱い生物種を保護する方法について知ってちょうだいな、ということらしいです。(毎度まいど雑な訳し方でごめんね。)
ラッコは生態系のキーストーン種であると考えられる一方で、漁業関係者の憎き敵とされる一面もあります。
アメリカのみならず日本でも、カワウソ同様にその上質な毛皮を目的とし乱獲された過去があります。江戸時代に本格的に始まり松前藩がアイヌと貿易し……で儲かるからじゃんじゃん乱獲して個体数が減ってしまったという話です。
1912年「膃肭獣及猟虎保護条約に基づく臘虎膃肭獣猟獲取締法」が施行されたこともあって保護が進み、千島列島付近には一定数残っていたらしく、個体数が増えつつあるのだといいます。
ここ霧多布にも姿を見せるようになったとか。タイミングが良ければ繁殖個体が見られる、とえとぴりか村の村長さんにお話を伺いました。
ラッコの個体数が増えたら……
私達のようなフィールドで撮影する人間が増え、観光業従事者からみれば喜ばしいことなのかもしれません。一方で観光客増加はポイ捨てなど環境汚染を加速しかねません。また、ラッコたちが牡蠣をはじめとする海産物に手を出さないわけはないでしょうから、漁師さんたちからは嫌われるでしょう。(厚岸エリアは牡蠣や昆布が一大産業なのです!)
生物保全って一筋縄にいかんものですね。
野生下のラッコ観察について、らっこちゃんねるさんの説明が詳しいのでリンクしておきます。
観察に出かける方は感染症対策をしっかり取った上で、ラッコたちの住処におじゃましていることを忘れず、良識ある行動を心がけてください。
どこぞやの野生カワウソ目撃情報が出たときみたいに押しかけたメディアが場所を荒らす、なんてことにならんことを切に願う。