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動物園、水族館、どうぶつのいるところへ。

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動物園とデザイン

「再演!! 動物園デザインの可能性」という講演会に行ってきました。

 

動物園をここ数年巡ってきていて、仮にもデザイン学科出身なわけで、こうもベン図がドンピシャリで重なってる部分の話を現場の方から聞けるとなると行くしか無い!と。

前回(6/21 sun.)はスケジュールが合わなかったため、今回の開催が告知され自分のスケジュールが分かった段階で申し込みました。えいやーっ。結果わたし以外(おそらく全員)動物飼育の畑の方々であったのですw

 

【満員御礼】動物園講演会「再演!! 動物園デザインの可能性」 | Facebook

 

講演会はお二方の話から構成されていました。

わたしが北村さんの存在を知ったのは井の頭で開催された初回のズーカレッジでした。

www.tokyo-zoo.net

えいやーっ、と勢いで申し込んだけれど、まさか選考に受かると思っていなかったけれど、結果よい仲間とよい経験に恵まれることとなりました。いまでは一緒に海外の動物園に行き情報交換をするまでにもなりました。

2015年の募集はつい先日締め切られたみたいです。今年の参加者さんにも収穫がありますように。

 

 

話は戻ってお二方の略歴を。

北村さんは美大の油絵学科のご出身で8年前から井の頭自然文化園を、2009年から上野動物園の両生爬虫類館も担当されているデザイナーさん(ただしくは「教育普及係」なのですが)。彼女が携わることで井の頭は変わっていく。

時を同じくして井の頭でアルバイトを始めたのが今村さん。井の頭での来園者の変化を体感してデザインのおよぼす影響の大きさを知る。2013年から野毛山動物園の広報担当になり、この春園内マップのリニューアルを手がけた。

 

 

海外、たとえばニューヨークのブロンクス動物園ではグラフィックアーツ部門といった専門の部署があるのだそうです。そのなかでもプロジェクトマネージャ、アーキテクト、ランドスケープ…と部門が分かれているのですが、じゃあ日本は?というと、それらをたった一人でこなさねばならないのだといいます。

加えてマスコミ対応、ホームページ、ツイッターフェイスブックをはじめとするSNSの更新、報告書…と仕事は山積み。私立の水族館なんかだと専門にグラフィック班が設置されている場合があるけれど、そうも行かないのが今の日本の動物園の現状だそうです。

 

 

 

そうした現状を知らないまま「あの掲示物どうにかならないのかな…」と思ってました、ごめんなさい。

 

Flickrに私が動物園で撮り貯めた掲示物を無作為的に不定期的にアップしているのでリンクしておきます。名義こそ違いますが。

Illustrations and captions | Flickr - Photo Sharing!

国内外60園館以上を訪問したときに撮影した約1700点の掲示物のストックがPCに眠っているみたいです。ああ、せっかくアップしてるんだから写真の見せ方もっと考えたほうがいいな。近々ちゃんと更新します。。。

 

上記リンクの写真をざっと見るとある特徴が浮かび上がってきます。

  • ラミネート
  • A4
  • 創英角ポップ体

恐らく園館を巡っている方はウンウンと頷いてくださると思います。というか街中でも上の三つの特徴がある掲示物は非常に多いです。これらを全否定するわけではなく、むしろこの縛り(?)のなかでも見やすく素敵な掲示物は多々あるのです。お手軽に作れるし費用もさほど掛からない、特別なものを必要としない合理的な答えです。

 

 

ただ、やはりフォントの力は大きい。

f:id:otters_yvonne:20150826142631j:plain

ちょっと一枚サンプルを作ってみたのでお暇な方はクリックして拡大してみてください。2行目の "ヒラギノ角ゴ" や "新ゴPro" のほうがスッキリ読み易いと思いませんか?これで「やっぱポップ体が見慣れててしっくりくるよねぇ」と言われちゃうともう元も子もないんですが…。(結構いらっしゃるみたいです、"ポップ体信仰" の方々。)

ところでこれを作るためだけに創英角ポップを昔の年賀状用CD付き雑誌を漁ってきた。よく読み込めました〜^^。

 

 

講演会終了後、とある動物園の職員さんとこの話ですごく盛り上がりました。どうしたら破綻しないデザインの掲示物ができるのか、と。

求めているのは有名アートディレクターさんのセンスあふれる最新鋭デザインじゃなくて、破綻してないある一定の基準を超えたデザイン、というようなことを仰っていました。予算もないしできるところから変えていきたい、と。

なるほど。

じゃ、まず無闇矢鱈と色数を増やさないこと、フォントも(ウエイトはともかく)欧文和文で使うものを限定してしまうこと、が先決なのでは?とアドバイスをしました。

 

このあとも「じゃあどんなフォントがおすすめですか?」「色はどうやって決めればいいですか?」などと積極的に質問を頂戴しました。

なんとか説明しようと試みましたが、急に「ウエイト」「ゴシック体とセリフ体」「カーニング」「明度」「欧文」「和文」なんて専門用語が出てきてもそれを(文脈から推測してなんとなく、じゃなくて!)理解していないことには話がどうも噛み合わず。かと言って易しい言葉に言い換えようと思うのだけれど、適当な言い換えが見当たらない。「明度」は「明度」だしw

わたしが話下手なのと頭の回転が遅いのとでその場で100パーセントの回答ができなかったのです、申し訳ないことに。

 

でも、質問してくださった職員さんのように興味を持ってくださっている方々が一定数いらっしゃることが今回の講演会をキッカケに分かりました。どうにかこうにか噛み砕いてそれらを伝えることが、活かしていただくことが出来たらなあと考えさせられました。

 

期間を設けて自分への宿題としてみるのもアリかもしれません。結局ここで答え出ないのかよ!みたいな。

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